リイカネ ~ラノベ・漫画家への道~ powered by syncl

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プレイヤー

プロフィール

リイカネ(T&A)
好きなアーティスト :  ※リイカネ(T) AAA/西風雲/URATA NAOYA/水樹奈々/Daisy×Daisy/喜多村英梨/川田まみ/May'n/ゆず/流田Project/supercell/DUSTZ/Gackt/EXILE/w-inds./Lead/橘慶太/m.o.v.e/Perfume/桃井はるこ/田村ゆかり/高橋優/ClariS/  /   ※リイカネ(A) 水樹奈々/Daisy×Daisy/上松美香/supercell/茅原実里/堀江由衣/May'n/ClariS/中島愛/桃井はるこ/林原めぐみ/坂本真綾/喜多村英梨/田村ゆかり/放課後ティータイム/スフィア/川田まみ/ゆず/高橋優/流田Project/KOTOKO/DUSTZ/
趣味 : 漫画描き 物語&詩創り 音楽鑑賞など
ライトノベル・漫画家志望

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リイカネ T(あんどうとおる)

出身地:福島県福島市

誕生日:1985/3/8

星座:魚座

血液型:A型

性別:男

主な原案作品
◎『Reincarnation』
第1章
 【序章】全八話。
 (一気読み&改稿版は三話予定)
 【礎】全八話予定。
 【破壊】準備中。
 【古(仮)】準備中。

◎『KIZUATO-瘍跡-』
 【学年戦争物語】
 第一章 全八話。
 第二章 全六話。
 第三章 全五話。
 第四章 準備中。
 第五章 準備中。


======================

リイカネ A(なみきあい)

出身地:福島県福島市

誕生日:1985/1/21

星座:水瓶座

血液型:O型

性別:女

主な原案作品
◎『クロと素(しろ)と碧の世界』
 第一章 全五話(一気読みは一話)
 第二章 前編・全六話。
     後編・全六話。
 (一気読みは三話)
 第三章 全八話予定。

◎『銀翼のヴァンプ』準備中。

======================

共同原案作品

◎『鬼叉羅戯-キサラギ-』準備中。
 序章 一話予定。(一気読みのみ)
 一之章 二話予定。

======================

※ただ今小説にもライトノベルに満たない物語を更新!
面倒臭いですが時系列に並んでいるため最新話が前になっています。
初期の作品や最初の方の文章の書き方がかなり違うのと、たまに脱字とか出現するため読みづらいと思うのでご注意下さい。

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更新日 : 08/21 15:33
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KIZUATO-瘍跡-~和の物語~【学年戦争物語】第二章/第六話『仲裁、説教と提案』





「くたばりやがれっ!」
「貧相チビがぁ!」
 僕は新田とつかみ合いに殴り合い、更に蹴り合う乱闘を繰り返していた。
 昨日よりは新田が強い気がするが、人間が一日そこらで強くなるわけがないから気のせいだ。多分、前哨戦の久田麻との対決で思っていたよりも体力を使ってしまったんだと思う。その為、金持ちなだけで弱い新田に苦戦しているに違いない。
 長くこんな奴とじゃれあっている暇は僕にない。初ちゃんがあいつらから上手く逃げ切れたのかどうかが気になる。
 初ちゃんは大丈夫なのだろうか?ケガなどしてないといいんだけど……。
 とにかく心配だ。なので、このクソ生意気な新田を早く倒して初ちゃんが無事なのか確かめなくてはいけない。
「てりやあああああああああああああ」
 僕は新田の腹に渾身の一撃をぶつけた。
「……ぐっ」
「――ッ!?」
 新田は一瞬、倒れかかったが何とか立ち直った。なんか以外とタフな奴なんだな……。
「うわああああああああああああ」
 予想外に持ちこたえた新田に驚いた僕は狂気乱舞に向かって来た新田の拳が頬にクリーンヒットした。
「――っ!?」
 我を忘れた新田の拳は思ったよりも威力があり、僕は地面にのされた。
「お前なんか、お前なんかダイキライだあああああああああ」
 地面にのされた僕の上に乗っかり、僕を殴りまくる新田。その新田の形相はまるで悪霊に憑依されたみたいな邪悪な表情をしていた。
 これは奇遇だな。僕もお前なんか汚物と一緒で大嫌いだよ。
「お前なんか、いなくなっちまええええ!」
 新田はボロボロになった僕の顔を目掛けて拳を振り上げた。
 僕は思わず目を閉じた。

 ――その時、

「いちいち面倒臭い連中だな」
 声がした。聞き覚えがある声だ。それは僕がムカつく男の子の声。
 僕は瞼を開けた。
「オマエ……」
 僕の嫌いな和久太がいた。
 和久太は僕を殴ろうとする新田の腕を掴んでいた。そして、まるで僕を憐れむような目つきで見つめていた。
「何でもかんでも暴力だけで解決しょうとするなよ――」
 和久太は嘆息した。
 余計なお世話だ! でも、助かった。
「う、うるさいな……」
 和久太は新田の手首を掴んでいる。新田は振りほどこうと左右上下と振るが、振りほどけないでいた。
 アイツ……どのくらいの強さで握りしめたんだよ。
「熱くなるなよ、クールに行こうぜ」
 なんてカッコイイ笑顔でさりげなくカッコイイ台詞を吐いてんだよ! ムカつくな、おいっ!
「うるさいうるさいうるさい」
 またしても新田が発狂した。
「うるさいのはテメェだ! 新田、四年生にもなって騒いでんじゃねぇよ!クレイジー過ぎてついていけねぇよ」
 和久太のたまに使う英語に僕はついていけねぇよ。名前は忘れたがそんな芸能人がいたような気がする。
「勇も、こいつらみたいな奴らに熱くなってんなよっ。もう少しクールに行こうぜ」
 いやぁ、お前も充分に熱くなっているいる気もするぞ!特に僕にさ。
 それにお前がいう、こいつらの中に僕が含まれているのかが知りたい。もしも含まれているなら、訂正しなければならない。
「おいっ…………………」
「まぁ、それもそうなんだが……下級生をネチネチと虐める大人げない上級生を見ていると、ついイラとしてな」
 勇の言葉に掻き消されたよ。
「そりゃ大人気ないわな」
 その大人気ないに僕は含まれているのか?問いただす必要があるね。
「おいっ………………」
「うるさいうるさいうるさい!」
 新田がまたまた発狂した。そのせいで僕の声が掻き消された。
 さっきから僕の会話がタイミング良く邪魔されているよ。
「うるさいうるさいうるさいうるさいウルサイイイイイイイ」

「「「うるさいのはテメェだぁ!!!」」」
 僕と勇、和久太で一斉に発狂した新田に一喝した。本当に喧しいよ……まるで、思わぬトラブルに堪えられなくなり精神的におかしくなった奴みたいじゃないか。
 ヒステリックだ。ヒステリック新田と名付けることにしょう。
「………いっ」
 三人いっぺんに一喝されたヒステリック新田は怯んだ。よし、これで静かになったよ。

 ――そんな時、

「キサマら、いい加減にしろっ!!」
「うわぁ、猛じゅ――いや、菱田先生!」
 と、僕は言った。
 ほぼ同時に勇が、
「ゲッ、ケダモ――いや、菱田先生!」
 同じく和久太が、
「あっ、化けも――いや、菱田先生!」
「キサマら、今私を猛獣やケダモノ、化け物と呼ばなかったか?」
「「「いえ、言っておりません……」」」
「そうかそうか……………て、嘘つくな!!本当のことを言え!!」
「新田が下級生を大人げなく虐めているから注意しただけです」
「ち、違んです! ボクたちのことをまたイジメているんです!」
「「はぁ!?」」
「何をイッてんだ、テメェ!」
「助けてください、先生! ボクたち、恐喝されてます」
 新田はまるで媚びを売るかのように教師に助けを求めた。
 裏表激しいな、さっきまで頭おかしくなったクセに……ムカつく。
「お前が下級生をいびるから悪いんだろっ」
「ほら、そんな風にボクらをいじめるんです……」
 僕らを指差し再び教師に媚びる新田。
 まるで今までの濡れ衣を全て着せるかのように言ってんじゃねぇよ。
「君たちは上級生としての自覚あるのかい?」
 はぁ!?
「新田に言われたくないよっ! お前なんか問題を犯しては僕らに罪をなすりつけているだろ!新田たちこそ上級生になった自覚があるのかよ!」
 ムカつく! 最高潮にムカつく!
 教師の前じゃなかったら、特に猛獣の前じゃなかったら絞めていたのに……。
「この野郎……」
「フン!」
 新田は猛獣に見てないところで僕らを見て鼻で笑った。まるで勝ち誇った満遍な微笑みで。
 ブチッブチッ、と。電線が切れるような音と共にまた僕の堪忍袋の緒が切れた。
「……っんのヤロー!」
 僕は猛獣の目の前だということを忘れて新田の胸ぐらを掴み殴り掛かろうとした。

 その時――、

「キサマら、いい加減しろっ!!!!!」

 黙って聞いていた菱田先生のドスが効いた怒号が突き抜けるように周りに響いた。
 僕らは余りの怒号にボー然となった。
「キサマら全員、生徒指導室に来い!!」
「「「「「「え…………」」」」」」
「口答えするなよ!! 全員、来い!!」
 菱田先生は何人かの先生を呼び、僕らを強制的に生活指導室に連れていこうとした。
「ちょっと待て、ボクは何もしていないよ! それにボクを連れていったら、どうなるかわかってんだろうね」
 ヒステリック新田、自分だけ逃げる気だ。
 大概の教師は怖じけづくが菱田先生は、思いがけないことを言った。
「そんなこと私に聞くと思うか?」
「え……」
 新田は今までと違う返事が返ってきて驚いている様子だ。
 それは当たり前だ、今までそれで逃れて来たのだから。ざまあみろだ。
「今まで教師が何でもいうことを聞くていう間違った解釈を正す必要があるようだな」
「えっ、ボクは新田財閥の………」
「それがどうかしたのか? そんな自分が築き上げてきた親の栄光に縋って、何を威張っている。所詮、お前は親の脛をかじっているだけしかない」
「でも……」
「新田。 まだわからんのか?」
「え……何が?」
「所詮、お前は子供だ。 子供は子供らしくいろいろと学べ」
「ま、学ぶって、何を……?」
「それを親が教えてくれない分、生活指導室でみっちりと教えてあげよう。 覚悟しとけ」
「ちっ!」
 新田は舌打ちをした。仮面が外れた。
 ざまあみやがれっ!菱田先生は権力や財力で動かせられない鉄人教師だ。お前らの顔を見ただけでビビる他の教師とは一味違うんだよっ!
「花川和。キサマ、ざまあみろと思わなかったか?」
「い、いえ、決して思っておりませんよ。 な、何を言ってるんですか。猛じゅ――いや、菱田先生」
 相変わらず勘が強いな。野生の勘か。
「花川和。キサマ、教師を猛獣と呼ぼうとしなかったか?」
「いえいえ」
 僕は勘づかれないように微笑む。
 これで笑顔で先生を猛獣だと呼んでいる、と思うまい。
「花川和には、あとで別件として生活指導してやろう」
「え……」
「さぁ行くぞ」
「「「「「「えええええええええええ」」」」」
 和久太は強制的に生活指導室に連れてい
こうとする菱田先生に、
「ちょっと待てよ、化けも――いや、菱田先生!」
「花川和久太。お前、先生のことを化け物扱いしょうとしなかったか?」
「べ、別に言ってないし、してねぇよ……」
「そうか?」
「そうだよ」
「それより、私に何用だ」
「オレはこのケンカを止めに来たんだよ」
 え……止めに来たの?
「和久太、合戦しょうとしたんじゃないの?」
「はぁ? 何をいってんだ、テメェは? チビチビバカか?」
 プチンっ、と。僕は和久太のその一言でまたもやキレた。
 キレて和久太に殴りかかろうとした。
「和久太あああああああああああ」
「うるせぇ、チビチビクズっ!!」
 和久太も僕にクロスカウンターを仕掛けて来た。しまった……。
 腕のリーチだと和久太の方が有利だ。
 和久太の拳が僕の頬を貫いた。
 僕の頬にはとてつもない重さの痛みが襲った。
「………………………っ!」
 余りの痛さで話せない。僕は悶絶する。
 そんな僕に和久太は、見下した目つきで言った。
「チビという自覚を持ちやがれっ」
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンっ!
 僕の怒りのお湯が沸騰した。
「フン」
 和久太は勝ち誇った微笑みで僕を見下した目で見ている。うぎゃっ、ムカつく!!

「キサマら、いい加減にしろぉっ!」
 まだ再び、菱田先生の怒号が飛んだ。

 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 僕たちは生活指導室でめっちりみっちりと叱られている。
 熱血指導と教育熱心の菱田先生の暑苦しい説教は僕らを苦しめた。まるで僕らの中にいる悪霊を退治するために浄霊のように、熱い熱い熱弁を混ぜつつ説教は長時間に渡り続けられている。
 それにしても暑い……暑苦しい。まだ夏じゃないのに暑い……。この生活指導室だけ、まるで常夏のようだ。
「全く……特に四年二組の四人と、一組の新田。キサマらのケンカは一年から目に余るものがある」
 溜息混じりに先生がつぶやく。こう言われると、なんだか僕が新田たちと同類のように聞こえてしまう。
「僕からは仕掛けてませんよ。先に手を出したり仕掛けてくるのは、新田たちの方ですよ」
「何を人のせいにしているんですか。ボクからは彼らに何もしていませんし、今日なんて、いきなり暴行してたんですよ」
「何を言っているんだ、今日はお前らが下級生に大人げなくからかっていたんじゃないか」
「アレは、下級生に社会ルールを教えてあげてたんだよっ!」
「「久田麻は黙れっ!」」
 久田麻も金持ちのくせに汚い言葉で更にムカつく。
 胸糞悪い。耳障りだ。ムカつき過ぎて、これじゃ冷静に話しなんか出来ないだろう。先生の目の前なんだから、殴れないでいる僕のストレスは半端ないくらい溜まりまくっている。
「こっのヤロ……」
 よっぽど僕に殴られて眼鏡を壊されたことに根に持っているのだろう、僕のことをまさしく鬼の形相で睨んでいる。
 そっちが悪さをして壊れたのだから自業自得だろ?
 僕は少しの私利私欲があったとしても下級生を助ける為と敵を打つ為にやったことなんだから決して悪くない。
「主犯格は新田なんだから、久田麻は黙って座っていた方が身の為なんじゃないか。」
 和久太は久田麻を無理矢理と座らせた。たまにはいいところあんじゃん。
「何が主犯格だ。ただ、下級生が人の物を壊したから叱っていただけじゃないかっ」
 新田はまるで証拠は既にあがっているのに無実だと言い張る犯罪者のように言った。
「人の物を壊したら謝り弁償させるということを教えて何が悪い!」
「学校にうん百万もする物を持って来たお前が悪いだろう」
「うんうん」
 勇の意見に激しく同意だ。
「そうだ。学校はそんな高価がものが持ってくる場所じゃないくらいわかるだろ?」
「…………悪いのか、貧乏人」
「「「はぁ!?」」」
 嫌味な顔して、何をほざいてやがる。
「学校に勉強道具を持ってきて何が悪いんだ?」
「悪い! うん百万もする勉強道具を学校に持ってくるなよっ! その前にうん百万する勉強道具って、なんなんだよ」
 僕の勉強道具なんて全て百均で合わせても一万円どころか五千円も越えてないよ。
 それに勉強道具なんかに金なんか使うかぁ? 使うんだったら、ゲームとか自分の趣味に使うわぁ!
「一流の人間には一流の物を使わなければならないからね」
「どこかで聞いたセリフだな」
「ああ、一流の馬鹿のセリフだ」
「君たちはわかってないだけだ」
 お前はもっとわかっていない。そんな人が恨めしがられる物を持ってくると、何かと問題が起こることを知らない。
 そんな僕はたまにDSやPSPを持ってきたりすることは内緒である。
「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ」
「この貧乏人が」
「この一流の馬鹿が」
 両者、睨み合う。
 今なら乱闘になれば三対二で勝てる自信がある。

「キサマ、いい加減しろっ!!」

 またもや猛獣こと菱田先生のドスが効いた怒鳴り声が再び火が吹くように上げた。
 あまりにも怒鳴り声で僕らは言葉も動作をするのを忘れさせた。

「そんなに戦いたかったら、近々行われる『うらら杯』でしたらどうだっ!?」



2012-05-06 11:06:00投稿者 : リイカネ
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KIZUATO-瘍跡-~和の物語~【学年戦争物語】第二章/第五話『花川和久太【正義】の怒り』





 ~花川和久太SIDE~


 オレの名前は、花川和久太だ。父親は文太、母親は薫の間に生まれた一人息子である。誕生日は七月十八日の光化学スモッグの日に生まれだ。光化学スモッグとは何なんだ、と思うだろう。オレにも詳しいことはわからん。ただ少し図書館で調べてみたところ光化学スモッグは、工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物や炭化水素(揮発性有機化合物)が日光に含まれる紫外線の影響で光化学反応をおこし、それにより生成する有害な光化学オキシダント(オゾンやアルデヒド)やエアロゾルが空中に停留しスモッグ状になることをいうみたいだ。小学四年生のオレにはちんぷんかんぷんでまるで意味がわからない。ただ、人体に影響を及ぼすガスというのはわかった。それ以外はサッパリだ。いずれ歳を重ねることにより理科などで勉強するに違いない。その時は、あの和に勝つ自信がある。
 あの和とは、どこぞの坊主だと思うが、あんまり言いたくないが従兄弟だ。誕生日が六月二十一日のスナックの日生まれだ。どういった日なのかはわからない。何の日なのかは調べたくない。誰が一ヶ月くらい早く生まれたからって、同じ歳の野郎のことなんか調べるんだ。どうせ、調べるなら好きな女の子の方がいい。
 野郎なんか嫌いだ。女子は好きだ。だからといって誰でもいいわけじゃない。やっぱ、気の合うというか、何となくフィット感があるというか、言葉で伝えるのは小学四年生のオレには勉強が足りない。ただ言えることは雫みたいな女が好みだということだ。
 桜坂雫。
 煌びやかな腰までの長い黒髪に、大きな目で瞳もまた磨き抜かれた黒玉のような漆黒に輝き、形の整った薄桃色の唇と、並びの良い真っ白な歯が端正な顔にアクセントを添えている。
 雫は普段から大人しい。というか、大人し過ぎてからかわれることが多い。
 そのせいか、よく学校や近所で鉢合わせする時はいろんな人に絡まれている。なんというか、天性のイジメられっ子みたいだ。心配でおちおち目を離せられない。
 だから一時期、一緒にボディーガードとしてくっついていたんだ。
 しかし、それを快く思わない奴らがオレと雫の妙な噂話を学校の裏サイトで流れた。
 『雫は小悪魔で天然だから、和久太を騙している』、『和久太は雫の毒牙にやられた』等だ。
 犯人はわかっている。雫をからかうというか、イジメレベルのことをやっていたあのブスたちだ。
 イジメをやる奴らなんて、自分のことを棚に上げいろいろというからな。どっちかというなら、小悪魔でぶりっ子をやっているのはブスたちの方だ。ブスたちが新田とか外見なイケメンに声をかけまくっていることはオレは知っている。
 雫は自分から他人に話しかけられない。というか、人間に話しかけたのあんまり見たことがないのが正直な話しだ。最近はオレと年下くらいなら話せるようになったけどな。これぞ成長というものだ。
 それに天然といわれるほど天然ではない。たまのドジや変な発言と行動はあるが、それ以外は人見知りで大人し過ぎる女の子だ。
 どうあれ、ボディーガードするだけ雫を苦しめるのならやめた方がいいと考えた。まあ、調度よくクラス替えもあったわけだし、これを機にボディーガードを卒業したわけだが、新学期になって二日目にして雫と同級生の開の妹である初が、一組の男子たちに早速と絡まれていた。
 なんというか、雫にはまだボディーガードが必要な気がしてならない。
 さあーてと。オレは腕まくりをして雫たちを助け出そうと、ゆっくりと歩を進めてしばらくした時、聞き捨てならない言葉が一組の男子たちの口から聞こえた。

「おい、そこのブス」

 あ゛ぁ、だれがブスだって?
 一組の男子の前にいる人など雫たちしかおらず、明らかに雫たちにいった言葉には間違いない。
 おいっ、どう見てもそこら辺の女子よりは可愛いだろうよ。目腐ってんじゃねぇの?
 オレは髪を掻きむしり雫に言い放った男子たちに沸々と煮立てくる怒りを感じた。
「……ブスって」
 ブスという言葉に、悲しいそうな表情を浮かべる雫。
 それを見ていると、余計に一組の男子たちのことがムカついてくる。
 許さねえ……オマエら全員を畑にある案山子にしてやるよ。明日から烏に突かれながら過ごせやがれ!
「しずくお姉ちゃんはブスじゃないです! キレイです!」
 初は傷ついた雫の心情を察したのか、温かい言葉をかけていた。
 初ちゃんは偉い。間違ってなんかいない。雫はブスじゃない。
「ありがとう、初ちゃん」
「どういたしまして」
 慰め合う雫と初ちゃん。
 そんな二人に一組の男子たちは冷たく言い放つ。
「うるせぇー俺たちがブスといったらブスなんだよっ!」

 ブチッ。
 その言葉でなかなかキレることがないオレの堪忍袋の緒がキレた。
「誰が雫のことをブスだとほざいてやがんだぁ!?」
 オレは魂の怒号を上げた。
 持っていた長ホウキを片手に持ち、決戦場と歩いた。さしずめ、リングに向かうファイターみたいだ。
「だ、誰だ!?」
 一組の男子たちも雫たちも一斉にオレの方を見た。
「わ、和久太くん……」
「カッコイイお兄ちゃんです」
 雫たちは期待に満ちた眼差しで見つめる。
「ヤベぇーよ……怒らせたら手がつけようがない一匹狼の花川和久太だよ」
「どうすればいいんだよ……」
「俺たちがあの一匹狼の花川和久太に敵うのか……」
 うろたえる一組の男子たち。
 オレって、一匹狼の花川和久太という通り名で呼ばれているのか……。
「そんな通り名なんてどうでもいいだろ? カスがぁ……」
 オレは持っていた長ホウキを両肩にのっける。
「カ、カス!?」
「ああ、女子――しかも、一人は下級生をイジメるなんてカス以外にクズしかないだろうよ。それに……」
 オレは頭を回しながら、両肩にのっけた長ホウキを構えて攻撃の準備を整え、一組の男子を睨みつける。
「そ、それに……?」
 恐れを抱いたのか、後ずさりする一組の男子たち。
 フン。睨まれただけで後ずさりするなんて弱虫がぁ……。その弱虫に教えてやろう。
「雫をブス呼ばわりしたテメェらなんか、ギッタギッタにしてやるから覚悟しやがれええええええ」
 オレは電光石火の如く勢いで、一組の男子たちに向かっていった。
 勝負の決着は一瞬でついた。
 剣道も何も習っちゃいない出鱈目なオレの剣筋だが、確実に人の見る目もない馬鹿な男子共の脳天と身体を貫いた。
 フン。オレは自慢じゃないが、ケンカは強い方なんでな。
「わ、和久太くん……」
 オレは勝ち誇り見下した微笑みを浮かべて一組の男子を見つめていると、雫が心配げな表情を浮かべて近づいてくる。
 ここは決め台詞を言うところなんだろうが、そういうのは苦手なんだ。だから、率直な感想を一組の男子に言ってやる。
「男のわりに、何て手応えのねぇ野郎なんだ。 これじゃアイツとケンカした方がいくらかマシだ」
 苦悶の表情を浮かべて悔しがる一組の男子たち。
 さぞかし苦しかろう。そして悔しかろう。何て言ったってあのチビ助とは格下と言われたのだからな。
「そうじゃなくって、血がついてるよ!」
 雫に指摘した口元を見ると、僅かながらの少量の血液が流れていた。無我夢中になって誰かは知らんが、攻撃を交わしきれなかったらしい。どうりで鉄らしい味が口の中に広がっているわけだ。
「こんなのただのかすり傷だよ」
「……でも」
 雫は心配げでオレの言葉に信用が出来ないといった表情を浮かべてハンカチを出して口についた血を拭き取ろうとする。
「大丈夫だって」
 一気に詰め寄る雫に鼓動は早く感じて身体の温度が上がてしまうオレは自己的な恥ずかしさからか雫の手を振り払う。
「大丈夫じゃないよ。そういって、消毒も何もしなくって放置して化膿した時あるでしょ」
 確かにあった。あったがそれは大分前のことである。
「それはまだ小学校も上がってない頃の話しだろ。最近は後からでも必ず処置くらいはしているから」
 オレは口元の血を腕で簡単に拭い、未だに心配げな表情を浮かべている雫に言った。
「それにかすり傷は男の勲章だって、いつもオレのじいちゃんが言っているしな」
「…………………」
「マジで心配そうな目で見るなよ、大丈夫なんだから―――――それよりも」
「ん? なに?」
 キョトンとした表情で首を傾げる雫。
 オレはそんな雫に聞いた。
「何があったんだ?」
「なにが?」
 またしてもキョトン顔で首を傾げる雫。
 なにがって……
 オレはなんで雫と初が一組の野郎に絡まれているのかが途中から合流したせいで、事の真相が大部分がわからないでいる。
 およそわかるとしたら、まだ面倒臭いことがありそうな気がしてならないのだが……。
 大体、雫は一組とは縁もゆかりもない。酷い話しをすれば、一組には友達と呼べる人はいない。だから揉め事を起こすことは極めて少ないだろう。人見知りで消極的な雫だからな。
 だとしたら初か? でも初も今年の春に小学校に上がったばかりで、あれでも四年生である一組とは同じく揉め事を起こしそうもない。起こそうとしても一年生だから間違って何か壊してしまって、上級生の仲間入りをしたことに調子づいてかつあげみたいな下級生いびりをしていたに違いないと予想してみる。
 だが、考えてみても埒があかない。
「だから、なぜこうなったのか?を聞いてんだよ」
「あ、そっか」
 雫はまるで頭の上の電灯が光ったわかったような描写が浮かんできそうな表情。
「あ、そっか、じゃねぇよ。 だが、わかってくれたのならオレが来る前のことを順序に話せ」
「うん、わかった」
 まるで幼稚園児のような無邪気な微笑みで答える雫。
 その微笑みは、オレとしてはどストライクです。
「実は―――――――――」
 雫はオレが来る前の出来事を詳しく話してくれた。

「――――花川和だろ?」
 雫から話しを聞いてからオレはそう答えた。
「小さなお兄ちゃんと呼ばれているのは、開か和ぐらいしかいないだろ? しかも、この場合、初は兄貴である開のことをお兄ちゃんと呼んでいるわけだし。残る小さな奴は和ぐらいしかいない」
「あっそうか」
 雫は頭の上の電球が光ったような右手を広げて握りしめた左手をポンと軽く叩くというわかりやすいわかり方をとった。
 なんかベターすぎやしないか?とは、思ったもののいちいち突っ込んでいては埒があかない為、話しを進めた。
「しかも小さいに優しくって乱暴者と言ったら和くらいしかいないだろ? まぁ、優しいかは疑問だけどな」
 というか、優しくねえだろ。アイツが優しいわけがねえっ!
 オレはアイツが優しい等と言われていることを不服に思っていると雫が怪訝な表情をして聞いてきた。
「ねえねえ?」
「なんだ?」
 オレはぶっきら棒な言い方だが返事をした。
「言い方からして相変わらず和くんのことキライなんだね」
「嫌いだね。寒気が沸き立つくらい」
 オレは何も迷わずも偽りなく答えた。
 オレが和を嫌いなことは当たり前のことだ。本人に遠慮して隠す必要もない。どうせ、アイツもオレのことが嫌いなんだから。
「なんで、そんなにキライなの?」
 雫はアイツのことが嫌いな理由を聞いてきた。
 理由? そんなもんはない。ただ見ているだけでイライラすんだ。
 だが、そんなことは雫の質問の明確な答えにはならない。なので、アイツに対してムカついたところを言って答えようと思う。
「誕生日が少しだけ早いからといって、威張ろうとしているところと、オレよりも背が低いところ、成績は悪いところ………あと、足の速さじゃアイツに勝てないところ」
「そうなんだ……」
 雫はなんか暗い表情をしてオレから視線をそらした。
 雫はイジメられている状況は嫌いだけど、イジメをする当事者を嫌いになりたくっても嫌いになれないお節介屋さんだから、オレが和を嫌うという行為が嫌なんだろうな。
「まぁ――そんなことより、そいつと勇がどんな大変な目に合っているんだか、初に聞いた方がよくないか?」
「あ…………そうだね」
「小さなお兄ちゃんが誰のことなのか、を考えている内に忘れたのか、雫」
「すみませんながら忘れてました」
 エヘッと聞こえてきそうな苦笑いを浮かべて丁寧に謝る雫。
「雫は相変わらずだな………、ん?」
 不意に初の方を見ると、何かいいたげな膨れっ面を浮かべて足踏みをしていた。
「いい加減に聞いた方がいいんじゃないのか? 初が言いたそうに足踏みしているぞ」
「あ! 初ちゃあ〜ん、ごめんなさあ〜い」
 初の存在にやっと気づき雫は謝った。
「ふん!です。しずくお姉ちゃんはカッコイイお兄ちゃんといちゃいちゃしていればいいんです」
 プンプンと御立腹な様子な初。
 というか、オレ……初が怒るほどイチャイチャしていたか?
「初ちゃん、ごめんなさい。許してください」
 雫は申し訳そうな表情で謝る。
「もう無視しないと約束してください」
 とても小学一年生とは思えない大人な態度で雫を叱る初。
「うん」
 初の条件にこくりと頷き了承する意を示す雫。
「ならゆるしてあげます」
 初はさっきの大人な態度とは違い小学一年生に相応しい無邪気な微笑みを浮かべる。
 そんな初を見て安心したのか、安堵の表情を浮かべて一言をいった。
「ありがとう」
 立場逆転=上下関係逆転。どちらが上かがわからない光景を垣間見た瞬間だった。
「じゃ、改めて言うけど、和くんと勇くんが何が大変なの?」
 雫は年上らしい姿勢で優しく初に聞いた。
「はいです。ういをたすける為に、いじわるな金持ちのお兄ちゃんたちとケンカをしているです」
 また?
「また?」
 オレの心の声と雫の声がハモった。
 どうやら、同じことを考え思ったらしい。
 まぁ、これが初めてじゃないしな。
「うい、はじめていじめられたです」
「ううん。違うのよ。和くんと勇くんが揉め事を起こすのは初めてじゃないのよ」
「今起こった話しじゃないからな」
「そうなんですか?」
「多分、相手の持ちのお兄ちゃんは、新田くんと久田麻くんたちに間違いない?」
「う〜ん、多分そうです」
「多分じゃないだろ?あいつらがケンカする一組で金持ちの野郎なんて新田しかいないだろ。それに新田の金魚の糞である久田麻もオマケとしてついているのは間違いない」
「ワンパターンだからね」
「ほぼ毎日だからな」
「まいにちですか…………」
「ああ、普段はあの二人が何かと言ったりやれば、文句を言って先にケンカを仕掛けている感じだからな」
 まぁ、今回は初を助けようとしてケンカになったんだろうけど……。
「何回も問題を犯しているから、『初ちゃんを助けようとした』と言っても信用されないだろうな。相手が新田と久田麻だからな」
「そんな……」
 とても不安げな表情を浮かべた雫。
 まさかだと思うが、あんな揉め事ばかり起こす奴らを心配してんじゃないだろうな。
「雫!あんな奴ら、心配することはねえよ!」
 強い口調でオレは雫に言うと、雫は少し悲しそうな表情を浮かべた。
「初……小さなお兄ちゃんたちのことをたすけたいです」
 初も心配げで悲しそうな表情を浮かべている。
「助けたいと言われても、誰かが仲裁に入れば……………て、なぜ二人してオレを潤んだ瞳で見つめてんだよ」
「ねぇ和久太クン、助けてあげて」
 今までの頼み事の中で一番嫌な頼み事だ。
「あぁ? なんでだよっ?」
「和久太クンなら上手く仲裁に入れると思うんだ」
「絶対、余計にケンカを悪化させると思うぞ」
「お願いです。小さなお兄ちゃんのいとこさん……」
 絶対に余計に火に油を注いだように悪化すると思うぞ。
 いくら雫や初のお願いだとしても、アイツに関わることはお断りだ。
 まるで飼ってくれと言わんばかりのチワワみたいな潤んだ目でオレを見る二人。
「………………………、わかったよ。行くよ、止めてくればいいんだろ!?」
 負けたよ。オレは二人の頼みを引き受けることにした。
「ありがとう、和久太くん♪」
 とても嬉しそうな満面の微笑みを浮かべて抱き着く雫。
「カッコイイお兄ちゃん、ありがとうです♪」
 無邪気で嬉しいそうな満面の微笑みを浮かべて雫と同じく抱き着く。
「二人共、抱き着くんじゃねぇよっ………。ひ、人が見てんだろう」
 周囲を見ると、さっきの騒ぎでいつの間にか人だかりが増えていて注目の的となっていた。
 めっちゃ見られてんじゃねぇか…………。オレはものすごく恥ずかしい。
「―――――チュッ♪」
 なんか雫の顔がいきなり近づいたと思ったら唇に何やら柔らかい感触がした。
 …………………
 ………………
 ……………
 …………
 はい?
 一瞬のことで訳がわからなかった。
 しかしながら、我に戻った雫はこの後、自分の思わずしてしまった行動に、恥ずかしさの余りに顔を真っ赤にして倒れてしまったのは言うまでもない。
 小心者で人見知りの雫がオレにした行為はそんなもんだ。
 同時に雫に何をされたのかわかったオレはボー然と立ちすくんでしまった。なぜなら初めてだったからだ。
 ファーストキッス。
 オレのファーストキッスは思わないところで雫に奪われた。
 同時に雫のファーストキッスもオレだということは変えられない事実だ。如何なる場合であったとしても、ファーストキッスはファーストキッスだ。
 我に返ったオレは初に「小さなお兄ちゃんたちを助けて」と言われ、ファーストキッスの余韻に浸る暇もなくアイツらを助けに行く為に走る羽目となった。



2012-05-05 11:11:00投稿者 : リイカネ
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KIZUATO-瘍跡-~和の物語~【学年戦争物語】第二章/第四話『花川和【正義】の乱闘』





「うおりゃああああああああ」
 春の風が清やかに吹く中庭に、余りにも景色とはそぐわない怒号が飛ぶ。
 僕と勇は長年の恨みを込めて、憎き敵である久田麻と新田にケンカを仕掛けていた。勿論、これはケンカの理由の殆どが私的というわけじゃないから。久田麻と新田が、友達の丹下開の妹である丹下初を助ける為になったことだから。
「くたばれええええええええ」
 僕は久田麻の顔を目掛けて拳を振り落とす。今までされてきた恨みを込めて、力いっぱいに。
「………がっ!」
 久田麻のかけていた眼鏡はマヌケにズレただけではなく、少々曲がった。ざまあみろ、ボロボロのマヌケ面を見て心の中で吐き捨てながらも、もう一発殴った。これは、さっきのぶん殴られた分だ。
 久田麻はどうやら気力を使いはたしたらしく、呼吸をゼハゼハしながら倒れたまま反撃してこない。金持ちというのは、お金があるのに運動しないバカばかりだ。ちっとは身体も使うことも考えた方がいいんじゃないか、と思う。そういう自分は頭を使うことも考えた方がいいんじゃないか、とよく言われるがそんなことどうでもいい。とりあえず僕は久田麻に勝利した。
「………ぼ、僕の勝ちだ」
 今まで我を忘れてケンカしていたせいで気づかなかったが、僕もゼハゼハ言っている。これでは久田麻とあまり大差が開いて勝っていることにはならない。
 ちくしょ! 足にだけは自身があるけど、運動神経のトータルでは全く普通とは変わらない。頭が鍛えるのが苦手な僕は、唯一の取り柄が足の速さだけというのは、なんともまぁ強調出来る場所が足だけの男になってしまうじゃないか……。
 双子の妹である玲は空手と算数が得意だ。算数なんて、頭の悪い僕にとって苦手な上に数式ばかりで何のことかわからない暗号だと思っている。なのに脳トレやゲームで数式の問題が出てきた時はスラスラと解けてしまうのは、なぜなのだろうか。天才なのだろうか、と思ったが、悪友の勇からは、『まぐれだ』とか『ビギナーズラックだ』と散々とバカにされてしまった。
 ところでその勇はどうなのだろうか。
 僕は一緒にケンカを仕掛けた戦友を探した。
「コノヤロー!」
「死ね、愚民がぁ!」
 掴み合い殴り合い蹴り合いの死闘が続いていた。まだ新田との決着がついていなかったみたいだ。
 というか、一対三は卑怯だろ?
 ムカつく……。 勇もああ見えて、いいところもあるからね。いくら憎い新田でも手加減をしているのだろう。
 親友である僕には手加減をしないくせに、心が真っ黒な新田には手加減をするなんて許さない。
 手伝うフリをして、勇もやっつけてしまおう。大丈夫、出来るさ僕なら。
「僕も合戦するよ」
「ああ、すまないな」
「いいよ。 仲間だろ?」
 後で敵になるけどね。
「まぁ――お前がどさくさに紛れて俺を倒そうとしているなんて思いたくないけどな」
 ……………………
 …………………
 ………………
 ………、」
「図星だな」
「そ、そ、そ、そ、そんなことないよ……」
「なぜ、そんなに吃る」
 ……………………
 …………………
 ………………
 ………、」
「図星だと黙る癖をいい加減に直せよ」
「う、う、うるさいな……」
「あと、開みたいに吃るなよ」
 ちくしょー! 勇をやっつけるチャンスがぁ。
 こうなれば直接、手を降すのみだ。
 僕は勇に復讐すると誓い拳を振り上げようとした時、新田が見下した表情を浮かべて言った。
「君ら貧乏人は、つくづくアホの集まりだな」
「「コイツと一緒にしないでよ(するなよ)」」
 こんな悪の塊みたいな奴と一緒にされるなんて冗談じゃない。
 僕は勇よりは黒くないよっ。
「貧乏人にはせいぜい仲良くやっていればいい。 君たちの馴れ合いを見ていると虫ずが走るよ」
 馴れ合い? 誰が馴れ合いをしているって?
 僕は別にこんな奴と馴れ合ってなどしていない。それに僕は馴れ合いが嫌いなんだ。イイヒトと勘違いするなよ、ボケっ!
「別に馴れ合いなんかしちゃいないよ」
「馴れ合いじゃなかったら、なんなんだよ」
 馴れ合いじゃなかったら?
 そんなの見ればわかんだろ?
「「ただ、お前がムカつくだけだ」」
 こんなにも勇と気持ちの波動を上手くハモれるとは気持ち悪いが、一緒の気持ちであることに頼もしさを感じるよ。
「はぁ?」
「はぁ?、じゃねぇよ、ボケッ! ナルシスト過ぎて周りを見失ったのか!?」
「な、なに!?」
「僕らのことをただの馴れ合いだと勘違いをしている時点で、終わってるよ」
「ああ、違いない」
 ボキボキ……
 勇は不敵な微笑みを浮かべて拳を鳴らした。
 僕と勇は周りを見渡す。遠くで僕が殴った久田麻がまだ倒れていた。いつまでのびているんだが……まぁ、しばらく起きなくってもいいよ。敵が増えて面倒なだけだからさ。
 そうすると敵は新田を含む雑魚三匹。三バカ烏だな。黒い服を着ていないから烏じゃないか。どっちか、というとシンプルで高級な服装だ。三バカ高級私服トリオだ。
 勇は僕の顔を見て言った。
「残りわずかの昼休みタイムの内にバカを三匹を相手をする。 覚悟はいいか?」
 勇の表情はあからさまな余裕の微笑みだが、少し不安の色が見え隠れしている。
 さすがにケンカっ早い勇でも残り時間がついている今、三匹のバカを一人で相手にするのは難しそうだ。それに小さくって可愛い初ちゃんを追いかけたバカ二匹が気になる。ここは早急に決着をして、初ちゃんを追いかけたバカ二匹を倒さなければならないな。
「ふん、僕を誰だと思っているんだい?」
「花川和」
「違うっ!」
 僕は漫才コンビばりのツッコミをした。
 僕が言ってほしいのはそんなことじゃないよ。漫画や小説、アニメとかドラマ、ゲームに映画、そんな物語である戦う前の友達同士の会話に出てくるような、そんな感じのを期待してんだよっ。何も名前を言えとは、言ってないだろ……。
「お前……和じゃないのか!? 気が付かなかったよ」
「和です! 花川和です! あからさまに棒読みで下手な演技で驚かないでよ!」
「だったら、最初からそう言えよ」
「それじゃ面白くないだろ……」
「今、面白さを追求しても何も面白くはならないぞ」
「もう……いいです。 勇に期待した僕がバカでした」
「フン。お前のどっかの漫画で見た会話を再現する趣味には付き合いきれんわ」
「わかってたんじゃん!」
「ハハハ」
 僕らの言い合う姿を見ていた新田がまるで壊れた目覚ましい時計のように笑い出した。ついに壊れたか……。
「君達はまだそんな子供じみたことをやっているのかい?」
「はぁ!?」
「な、なんで、そうなるんだよっ」
「君達のような相手をしている時点で時間の無駄だよ」
 嫌みたらしく笑う新田。
 そんな新田にすかさず僕は言った。
「下級生をイジメている奴に言われたくない」
「イジメてない。注意しただけだよ」
「あれが注意か? どう見てもイジメか、かつあげにしか見えないな」
「うんうん」
 僕は勇の言ったことに同意する。
 あれはどう見てもイジメか、かつあげだ。そうじゃないなら、何だって言うんだ。
「ボクの物を汚したから注意して、弁償させようとしているだけで、ボクは悪くないよ」
「学校に高級なものを持ってくるのが悪いだろ?」
「そうそう」
 それも同意だ。付け加えると、学校は勉強と運動をするところであって、そこら辺の一般の子供なら誰でも知っている常識だ。
「何を持ってくるのは、ボクの自由だよ」
「そんな自由はお前にないっ」
「そうだ、そんな自由あってたまるかぁ!」
 勇の意見に僕は激しく同感する。
 そんな自由なんていらないね。どうせ、新田は凡人や貧乏人に見せびらかす為に持ってきたんだろ? そんなの目に見えている。お前も長年の付き合いだし、ワンパターンだ。
 僕はあれから何も変わらない新田に呆れ果てる。
 もう、こんな外側だけは良くって内側は醜い奴なんて、外側も全て醜くしてやるよ。
「まさか……君たち、ボクに嫉妬しているのかい?」
「「はぁ!?」」
 僕と勇は傍若無人な新田の余りにもナルシストな言葉に更に呆れ果てる。このまま呆れ果てたら、呆れの向こうに何があるのかわからないくらい呆れ返り苛立ちを覚える。
「新田……オマエはバカか?」
「どう考えたらそうなるんだよ!」
 僕たちは別にオマエに嫉妬なんかしてない。この不況に金持ちで使い放題なところは正直に羨ましいと思うが、それ以外は、全然羨ましくはない。
「困るな。 ボクにヤキモチしては……」
 新田は開き直った表情を浮かべる。
 何をぬかしているんだ? 殴ったり蹴り過ぎて、どこかおかしくなったのか?
 おかしくなったからって、責任はとりません。悪いのは新田だ、僕らではない。
「何を言ってんだ、てめぇ」
 本当、何をいってんだよ。
「勘違いすんなよ、自分大好きナルシスト」
 お、ナルシストという言葉を間違えずに、噛まずに言えたよ。
「和、ナルシストってよく噛まずに間違えずに言えて良かったな」
「ありがとうさん」
 僕はナルシストという言葉を噛まずに言えたことを喜んでくれる勇とハイタッチを交わす。
 こういう小さなところでも普通に祝ってくれるところが、勇の数少ない良いところだ。
 それを見た新田は馬鹿した表情を浮かべて言った。
「馴れ合いしてない、といっときながら堂々としているじゃないかっ」
 はぁ? まだこれは馴れ合いに入らないよ。
 馴れ合いというのは、寛人がやっていることをいうんだよ。
「新田、いちいち細かいことを気にすんなよ!」
 と、勇は新田に一喝した。
「そうだ、そんな細々なことを言うなよ。面倒臭い……」
 新田という人物は、財力や権力で性根が腐っているんじゃないか、と思うくらい女々しい。そして、心が狭い。人のことは言えないが男の腐った奴だ。
「それじゃ、女どもが本性知った途端に逃げていくな」
「僕もそう思うよ」
 僕は勇の言ったことに激しく賛同する。
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさああいっ!」
 新田は発狂した。新田が壊れた。
 決して僕たちのせいじゃないよ。
「君たち二人はなんでいつもボクを虐めるんだ」
 僕らを怨念が篭った目つきで見つめる。その目つきに僕は圧倒されそうになるが堪えた。というか、人が変わったみたいだ。
「ボ、ボクらは別にオマエを虐めてないだろう」
 そうだ。いつも先に手を出すのは、いつだって新田の方だ。僕らは何一つとは言えないが、そんなに悪くない。
「うるさいうるさい! 君たちには手を出してないだろ!」
「確かに手は出してはないけど、下級生に手を出しているだろ」
「裏で手を出したり口を出したり、今日みたいに弱い者を虐めているじゃないか」
「うるさいうるさい! 君たちには直接は手を出していない、ボクは悪くない!」
「その考えはなんなんだよ!自分は直接手を出してないからと言って逃げるのかよっ。やっぱ、政治家の息子だな。人のせいにして逃げるんだな」
「うるさいうるさい!」
「オマエが主犯だろ!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい! 黙れチビ!!」
 プチンッと。僕の堪忍袋がキレた音がした。
 僕はこの世の中で一番、『チビ』という単語が大嫌いなんだよっ。
「新田、殺ス!!」
 僕は新田の胸ぐらを掴み殴りかかろうと拳を振り上げた。
 またしても、戦いのゴングが鳴り響いた。



2012-05-04 11:21:00投稿者 : リイカネ
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